場面緘黙症の対応ってどうすればいい? 失敗例と成功例

場面緘黙症の対応ってどうすればいい? 失敗例と成功例

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4月になりました。今週からいよいよ、新学期を迎えます。前回の投稿から、随分と間があいてしまいましたが。。

前回は、「場面緘黙症の対応ってどうすればいい? 我が家の対応編」
ということで、「基本の5つ対応」の中から、「早期発見、支援の大切さ」について 我が家のエピソードを交えながらお話しました。

我が家の「基本の5つ対応」

    1. 早期発見をする
    2. 親をはじめ、学校やお友達 周りに場面緘黙を知ってもらい理解を求める
    3. 無理強いさせない
    4. 不安を取り除き、安心な環境を作る
    5. 自信をつけて、少しずつできることを増やしていく ← 今ここ

今回は、3つ目の対応「無理強いさせない」って具体的にどういうことか?、我が家の失敗談とともに良かった体験についても、お話したいと思います。

もくじ

「基本3. 無理強いさせない」ってどういうこと?


「無理強いさせない」ってどういうことなのか? 具体的に掘り下げてみたいと思います。

緘黙が発覚したした当初、次男が幼稚園のときのことです。

親である私も先生も、どう対応したもんかわからず「話させよう、話させよう」としていたように思います。

でも、話せない理由、原因をみようせず
(話してる姿を見られるのが怖いという、本人の気持ちを無視して)
話させることばかりに注目しては うまくいくはずもありません・・。

当時を振り返ると、私もいっぱいで余裕がなかったのですが。

自分の気持ちを言葉で上手に表現できない子どもだからこそ、周りの大人が本人の気持ちを理解してあげようとする姿勢が大切だったと 今になって思います。

そもそも、「話せない」ってどういう状態でしょう?

本人は、話したい、話そうと思うのに緊張で声がでない状態になる。

例えば、

  • 発表会や、学年、クラスの代表として全校生徒の前にたって話す場面
  • 役員として、みんなの前で挨拶したり、意見をのべる場面

を想像してみてください。

みんな、あなたに注目してます。
あなたのことを見ています
視線や見えない注目を感じると余計、緊張するなんてことありませんか?

その時のあなたの心の中は?

  • うまくできるかな? 失敗したらどうしよう? 緊張するな・・
  • ドキドキする。緊張してきた。頭の中が真っ白だ。

緊張で声が震える、声が小さくなってしまう。
なんて、経験をしたことのある人もいると思いますし、そんな感覚を想像できると思います。

もちろん、人前に立つのが好きな人、話上手な人にとっては なんてないことですが。
普段、人前に立ち慣れない人には緊張する場面です。ちょっと、勇気が必要な場面です。

「園や学校、家以外の場所で、人と話すこと。」
普通の人にとっては、なんでもないことなんですが。

人からの視線や気配を過剰に感じ取ってしまう緘黙の子たちにとっては、
毎日が舞台にたっているような、そんなドキドキ感を感じている」ということなのかもしれません。

そんな状態の息子に、
「さぁ話せ、ほら話せ、少しでいいから話してみ。」といっても・・

「そんなに言うなら。じゃあ、ちょっとだけよ。 (加藤茶か?)

なんて展開にはなりませんね (汗)

子どもの状態や そのときの感情を見ようとせずに無理に話させようとしても、余計に緊張が高まり話せなくなる。 → THE 逆効果.

無理に言わされて、たまたま頑張って話せたこともあったかもしれない。
でも、本人の困り感によりそって、トライさせなければ・・

ごり押ししても、根本的な解決には向かわなかったのです。

不安、緊張がいっぱいな状況では、話そうとも思わないし。
そもそも本人が「自分でも話してみよう」という意識を持たなければ、克服なんてできないよね。

我が家の失敗例から学ぶこと


そんな過敏な緘黙ちゃんに、
良かれと思って、やってしまう 日常の対応の失敗談

今にして思うと、
本人にとっては、ありがた迷惑どころか 余計に緊張やプレッシャーを与えただろうと反省した我が家のやっちまった事例についてお話します。


ポイントは、

  • 無理強いしない。プレッシャーを与えない
  • できたこと、できないことに周りの大人が過剰に反応しない。注目しない。
  • ありのままを受け止めてあげるだけでいい。(可能なら手本を示してあげるといい)

ということなのです。

それでは、我が家の失敗談について みてみましょう。

子どもの目線に合わせない

園児など 特に小さい子の場合にありがちな対応として。
子どもが言いたいことを言えずに もじもじしていると・・ 

特に女の先生は、子どもに寄り添いながら
ん?ん? と子どもの目線に合わせて かがんで目を見つめながらお話をしてくれます
(一般的にはGoodな対応です)

ところが・・
視線を感じたくない (恐怖に感じる) 緘黙児には、どんなに怖かったことでしょう(笑)
対応、まちがっとるやんけ!

次男の場合、聞いてるか聞いてないかわからないような (こちらに視線なんて向けない)
ぶっきらぼうなおじさん (男の人) のほうが、意外に話せていたように思います。

Episode 居心地のいい関係とは?

幼いころの次男は、話せないくせに
こわおもてだけど、実は子ども好きの近所のおじさんになついて 一人で遊びにいっていました。

余計なことは話さない。求められない。
おじさんと過ごす時間は、余計な鑑賞をされず居心地が良かったのかもしれません。

子どもながらに 無骨なおじさんは優しくていい人なんだって肌で感じていたのでしょう。

→ 普通と逆やがね。
近所の子どもたちは、愛想のいいおばさんとよく話をしていましたが、うちの次男は おばさんとは ほとんどお話しませんでした。

  • 緘黙児には、視線を合わせてぐいぐい いってはいけません
  • さりげな〜く、さりげな〜く自然に接してあげてください。
  • 特別扱いなんてしなくていいんです。 普通にね。

ソフトに強要しない

挨拶編。 園児になると、教わることの一つに挨拶があります。

「挨拶すると気持ちいいよ。」なんて高度な感情は、子どもには まだまだ理解できません。
「だから、挨拶なんて必要ないでしょ? 意味ないことはやらないよ。」と子どもは思うかもしれません。

だけど、社会のルールとして、人に会ったら挨拶する

大人目線からみると、挨拶できる子は「しっかりしてる子だな。」と好印象をうける。
大人になると特にそう。第一印象がガラリと変わる。その後のやりとりがスムーズになる。

大人になって必要なことは、子どものうちから身につけさせたいものです。

だけど、緘黙ちゃんに挨拶なんてハードル高すぎですよ。もちろん、挨拶なんてするハズありません。というか、なかなか できません。

そこで・・

「あんた、今日こそは先生やお友達に おはよう!って、いいなさいよ!!」
な~んて強要こそしませんでしたが・・

以下、私の犯した失敗談。

  1. 「今日は、おはようって言えるといいね~。」と、くる日もくる日も語りかける。
  2. 母が先生に「さようなら~」と言った際に、
    「はい、さようなら~」と何度も背中を押してみたり。
  3. 先生とさよならのかわりに、無理くりハイタッチをさせてみたり。

1. 口調は優しいけど、毎日毎日いわれたら・・。 何気に、プレッシャーだよね。

 私だったら、こう言うな。 → わかってるよ。言えるもんなら、いってるわい!
 でも、話すことが苦手な幼い次男がそんな反論できるわけもありません。

2. 母が代わりに代弁してあげるのはいいけれど、無言の圧力はかけてはいけません。

3.「言葉のかわりに非言語での挨拶」はいいけれど、無理矢理感 満載でした。

そして挨拶のあとに、「今日は言えたね!、言えないね。」と先生も親も大注目(笑)
さぞかし、嫌だったことでしょう。ごめんね、次男。

挨拶できても出来なくても、もっと、自然にふるまってほしかったね。

そんなに無理させなくても
母がかわりに、「さようなら」と言えば
(母のやりとりを通じて、挨拶をするものだ と学べれば)
それだけで良かったのかな。と今にして思います。

良かれと思ってやっていても、本人には相当 負担をかけたのだな~と思います(汗)

  • ソフトに強要してはいけません
  • 「話させよう」ではなく安心して話せる雰囲気をつくろう
  • 話せないときは、母がかわりにお手本をみせるだけ

Episode 家の中で挨拶してる?

次男は家の中でも、「おはよう。ただいま。おかえり。」などの挨拶をあまり口にしません

  • 言うのが照れくさいのか?
  • 感情をみせることが苦手なのか?
  • 心身ともに、活力がわかないのか?

 朝起きて体が重~く感じるときに、声って出ないよね。心身ともに元気じゃないと、声ってでない。
 → そう思うと元気なお年寄りって、ムダに声デカイでしょ(笑)?

いつも、私が意識的に語りかけては さりげなく返事を求めるので 少しずつ言うようにはなってきましたが。

それでも、日によって、本人のテンションによって だいぶムラがあるようです。

自分から自然とスラッと言うときもあれば、口をつぐんで言わない日。 なにかが挟まっているような、重い口調のときもあります。

そもそも、家でできないことは外ではできませんね・・。

家でも外でも、たまたまでも、挨拶できたときは、嫌味にならないように褒めてあげてください。

親、兄弟。他の家族が挨拶したら、さりげなく周りの人を褒めてあげてください。
(本人に「挨拶しなさい」と指示するより、効果的だったりします)

「挨拶すると褒められる、挨拶しとくといいかも。」と感じるようになってくれたらしめたものです。

ちなみに、次男とは対照的に。
長男はいつも自分から「おはよう。ただいま。いただきます。」と挨拶をしてきます。

長男にたいしては、特別うさるく しつけた覚えもありませんが。

母がぼ~っとしていても、こちらが関心するほど いつも自分から挨拶してくれます。本人にとっては、無意識であたり前の習慣なんでしょうけど。

そんな長男からの挨拶によって、母の緩んでいた気持ちが 引き締まるような気がします。 そうなんです。挨拶って、場面や気持ちを切り替えてくれるんです。やっぱり、挨拶っていいもんですね。

支援の仕方 と 成功例


幼稚園の先生とは、息子の反応に一喜一憂して 失敗してしまったという話をしました。

息子にとって、やりずれー感 満載の幼稚園ライフでした。
それから4年。 次男 三年生のときの先生は上手に見守ってくれました。

ここでは、勉強になった「支援の仕方」についてみていきます。


三年生のときの先生は、大人が直接、手をくだしたり 無理強いするのではなく
子どもたちの自主性を引き出し、上手に子どもたちを取りまとめてくれたのです。

そんな先生の指導のもと クラスの様子は・・

  • 「おれが次男のサポートをするよ。だから、近くの席に座るね。」等、クラスの子どもたちが 自分たちで必要な配置を考えて席替えをしたり。 
  • 授業中、意見を述べ合う場面 (ディベートタイム) では、次男の意見を聞き出し、代弁してくれる子がいたり。

子どもたちが自ら考えて、次男のサポートをしてくれました。もちろん、その影には先生の力があるわけです。

みんなのサポートは、「うちの子に限って」特別扱いというわけではなく、
(昔、そんなドラマがあったよね。古っ・・。)

「クラスのみんながお互いに、困ってる子がいたら助けようという気持ちを持ち 自分で進んで動いてくれたようです。

だから、授業で進みの遅い子がいたり 困って止まっている子がいたら
先にできた子が教えあうなど。

「お互いに得意、不得意をサポートしあうようなクラスの雰囲気づくり」を先生がしてくれたのでした。

先生にお礼を述べると、
「私はほんとに何もしてないんです。子どもたちが自分で考えて動いてくれて、私が助けられたと。」

先生、神や。

大人がすべきことは、
  • 強引に参加させることでもなく。
  • 特別扱いして そっとしておくことでもなく。
  • 苦手な環境から遠ざけることでもありません。

子どもたちが動けるようお膳立て 子どもに意識づけをして、見守ること。

その時に、

  • 子どもが間違った方向に行きそうになったときだけ、手を差し伸べること。
  • 躓きそうになったら、さりげなくフォローをいれて勇気付けること。
  • 子どもの変わりに、なんでも大人が手をくださないこと。手を出しすぎないこと。
     (それ、うちの義母やねん)

なのかもしれません。

Episode 息子の成長

そんな素敵な担任とクラスの仲間に囲まれて三年生の次男は、前向きな成長を見せました。

家では

  • 普段の話し声の大きさも大きくなったように思うし、気持ちも一段と明るくなった気がします
  • 父親に対して、ずいぶんハキハキ返事ができるようになりました。
    (今まではモジモジ、ボソボソって感じでした)

 

学校では

  1. クラスみんなの前で、モノマネをしてみせた
  2. 体育では、別人のように動いていた
  3. ナレーターに立候補した
  4. グループの話し合いでは、次男の案が採用されたことも

1. 仲良しの子と活動した「ものまね係り」では、みんなの前でさるのモノマネをしてみせたそうな。

 話さない次男が、みんなの前でモノマネをした姿に先生も。
 思わず、「次男~?!」と、すっとんきょうな声をあげていました(笑)

 その話を聞いた母も、目も飛び出るほどびっくり!!
 人前で話すより、モノマネするほうが恥ずかしいんじゃないだろうか・・(笑)?

 本人に話しをきくに、実は「みんなが笑ってくれることが好き」らしい。
 話せない次男の姿からは想像できないだろうけど。確かに、家ではふざけてばかりだよ。

2. 体育では、別人のようによく動いたらしい 次男の姿に。

 「遠めにみたら、あれが次男だとはわからないよ。」と先生。

 ちなみに、そんな話をきく少し前に。
 比較的、得意な運動なら少しやれるかな?と。短期のバスケットを習わせてみました。

 ところが・・。そこでの次男は、すごく動きが硬かった・・。
 はじめてのスポーツ、はじめての仲間。 緘動に近い状態だったのかもしれません。

 そう思うと、クラスの仲間とは安心できて体も動かせたのでしょう。環境の影響って大きいです。

3. 話せないくせに、なぜにナレーター?

 3年生も終わりの頃。 学校行事の一貫で、ナレーターを募集するひとコマがあった模様。
 なんと、そのナレーターに自分から立候補。 これまた、びっくり行動でした。
 普通の子だって、なかなかナレーターになんて立候補できないよ。

 その話をきいた後日、思わず、次男に
 「ナレーターって何する仕事が知ってる?」と聞いて、「知ってるよ!」怒られました・・。

 もちろん、話せなかったので・・。
 他の子にやってもらったらしいけど、意欲をほめてあげたい!

4. 次男の案が採用された

 グループごとに意見を出し合う場面。 小グループでも、声は出せないため。
 今、次男ができる方法 (お隣の子の耳元でなら意見をいえる) で代弁してもらいながら、グループ内で意見交換をしていたようです。 お隣の子に感謝です。

ありがたいことに、次男はクラスのお友達に支えられ、話せないながらも
彼なりにクラスの活動に参加していました。

自信がなかったり不安の強い次男が、これだけ、自分から積極的に行動できたのは、話せない次男を ありのまま受け止めてくれて 協力してくれるお友達と先生に囲まれ、安心した環境で過ごせたからでしょう。

 子どもたちの関わりによって、次男がうまくグループ活動に参加できている様子に、
先生がうれしくて声をかけたかったけれど・・。

先生の視線を感じると、さっと固まる次男。
アンテナ、バリバリ(笑)

次男と喜びを共有したい気持ちをぐっとこらえて、遠くからそっと見守ってくれました。

という話を後日の面談で聞いたときは、ただただ感謝でした。 先生、大人~。

 大人や年上、年下の子とは、話したり遊んだりするけれど、同年代の子は苦手という子も少ないないと思います。

学校は、子ども同士の付き合いですから、相手の状況をみながら加減してくれる大人ではなく、子ども社会の中で 立ち振る舞いを覚えていくことが本人の自信にもつながって、成長していくものだと思いました。

周りの大人は、子どもたちに、無理強いしたり、守りすぎたり・・ではなく

子どもの自主性を引き出す声かけをして、その様子を見守る力。子ども同士で解決する力を引き出す姿勢を見習わないといけないと勉強になりました。

コロナ鍋であまり学校の様子は伺えなったものの、三年生の担任はとても素敵な先生でした。

次回は、環境作りについて、母ができる支援について お話します。

◆先生方の理解を得るために、愛用している本
なっちゃんの声 学校で話せない子どもたちの理解のために [ はやしみこ ]
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コメント

  1. しょ より:

    すごくためになりました。今小学4年生の場面緘黙の母です。早期の治療が大切と分かっていたのですが、学校には元気に行けてるのでずるずると、今まで来てしまいました。しかし緘黙は克服したわけではありません。これからどうしたら良いのか何をしたら良いのかずっと悩んでおります。

    1. miku より:

      コメントいただき、ありがとうございます。少しでもお役にたてたなら良かったです。 とは言え、小6になったうちの息子も学年によって浮き沈みはあるものの、未だ話せるようになってはおりません。緘黙を克服するには、奇跡的によい先生や友達に巡り会えること。でなければ、「話そうと思う本人の強い意志」が必要だなと感じているこの頃です。 我が家は来年、いよいよ中学生です。 どうなることやら、先は見えませんが。。 良いこと悪いこと含め、ほそぼそブログは更新していこうと思っています。 何か参考になることがあれば。また、覗きにきてください

  2. レイ より:

    娘が場面緘黙症です。
    場面緘黙症について母ができる支援というのがとても気になります。
    先が見えないのでどうしたらいいのか悩み中です。

    1. miku より:

      コメントいただき、ありがとうございます。コメントいただけて嬉しいです。 同じ境遇できっとお困りですよね。。
      こちらの記事も忙しくて、全然 更新できておりませんm(__)m 娘さんは、おいくつでしょうか? うちの息子は、小6になりました。未だに学校では、話せないものの。幼い頃に比べれば、彼なりに前進はしていると思います。 そして、不登校等の二次障害にならなかったことだけは せめてもの救いかなと思います。

      今まで母としての私が、学校や周りとどう関わってきたのか? 息子の最近の様子等も含めて、なるべく近いうちに記事を更新しますね。 少しでも、何かの参考になれれば嬉しいです。。

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